2019 06,17 13:25 |
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毎度のことながら、交流戦に入ると失速するカープのせいで、最近はCSのプロ野球ニュースを見なくてもよくなり、その時間で録りだめていたテレビ番組を見ることができます。
今年は大河ドラマをみていませんので(平清盛以来ですね~)、定期録画している番組は限られます。そこまで言って委員会NP、英雄たちの選択、おぎやはぎの愛車遍歴、釣りごろ釣られごろ、大ちゃんの釣りに行こう、釣りびと万歳、カーグラフィック、ガイアの夜明けに加えて、現在は進撃の巨人とガンダムオリジンをみています。カーグラや釣り系の番組は興味があるものしかみないので、タイトルだけみて消すことも多いです。特に、カーグラのメモアール〇〇はみません。 その中で珍しくドラマを録ったのが「白い巨塔」です。 5話でしたが、少しずつ消化して昨日見終わりました。 視聴率と評判はまずまずだったようですね。 僕にとっての白い巨塔は、平成2年の村上弘明主演のドラマから始まります。 それがとても面白かったので、山崎豊子の小説を買って読みました。その後、レンタルビデオで田宮二郎のTV版白い巨塔をみました。次に、平成15年の唐沢寿明主演の白い巨塔をみて、この度の岡田准一主演の白い巨塔になるわけです。 僕の勝手な印象では、村上弘明主演の白い巨塔が一番面白かったと思います。 なぜかというと、 村上弘明版まではかろうじて原作に忠実に設定されていたからです。 それは、 ①財前五郎の専門領域が胃の噴門部癌だったこと。 ②胃癌が早期癌だった(後で進行癌とわかりますが)にも関わらず、肺に転移を起こすという、ありそうにない話だったこと。 ③術前の肺の検査が断層撮影→CTスキャンではあるもの、目的は一緒だったこと。 ④裁判の争点が、肺の転移を術前に見落としていたかどうかであったこと。 などでしょうか。 何より、バブルの真っ只中で作られたドラマだったので、教授選の買収額が派手でした。財前又一が1000万円単位でバンバン金を配りまくります。又一役は藤岡琢也で、コテコテのヤクザ医者だったし、鵜飼学部長は丹波哲郎で渋い演技が際立ちました。柳原医師は若き日の堤真一でしたが、裁判で真実を語ったあとは気がふれて廃人のようになるというなかなか迫真の演技でした。 それからすれば、唐沢寿明版も岡田准一版も、キャストが軽いなぁと思いますね。柳原君も高知の無医村に行くのはよいけれど、お見合いしたお嬢さんを連れて行ってはいかんでしょう。一人で行かんと。 白い巨塔の辛いところは、医学の進歩と原作が釣り合わなくなることですね。 原作では、噴門部の早期胃癌を財前がバリウム検査で見つけます。当時は内視鏡がないからそれが財前の職人芸なのだけど、今どき内視鏡で一発で診断がつくので、無理やり膵臓癌に変わっていました。 また、柳原が肺の小さな陰性を癌の転移じゃないかと回診で財前に進言して激怒されるのですが、当時は肺の断層撮影を撮るかどうかでもめました。僕の年代でも肺の断層撮影なんてあまり見たことがありません。だって、CTを撮れば済むことだから。ちなみに、村上弘明版では肺のCTに変わっていましたが、それでも当時はCTを撮るって結構大変なことだったと思います。今みたいに、気軽に依頼できるような検査じゃなかったですよね。なので、財前に拒まれてもそれはそれで納得できる範囲でした。 でも、唐沢寿明や岡田准一版ではCTを撮るかどうかくらいで揉めるなよって程度の検査になった後なので、そこが肺生検になっていたりPETになっていたりです。 特に、岡田准一版では、胃癌じゃなくて膵癌+血管内リンパ腫というなかなかレアな疾患になっており、そんなの術前に疑うことなんて無理でしょうって感じでしたね。 そもそも白い巨塔は一審で原告が敗訴し、里見助教授が浪速大学を去るところで終わります。2審や財前五郎の死はその後の「続・白い巨塔」で描かれたものです。読者の反響があまりに大きくて財前勝訴・里見敗訴のままで終わらせるわけにはいかなくなったようですが、著者の山崎豊子さんは「社会の要求に応えることはやむを得ない」としながらも「すでに完結した小説の続編を書くべきではない」と言っておられたと聞いたことがあります。 つまり、2審以降の話は後付けなので、ちょっと無理矢理感を否定できません。 実際、当時の医療水準では2審で財前が有罪になることはあり得ないといわれていました。 そこを、医学的落ち度はないものの様態が急変した後の対応に問題があるという理由で極めて温情的な判決の結果、原告勝訴という設定でした。 それを、唐沢寿明版のように「説明義務違反」で有罪なんてしてしまうと話の根本がズレズレに感じてしまいますね。岡田准一版はどうだったかな。忘れてしまいましたが、説明義務違反ではなかったように思います。 僕の「白い巨塔」への深い愛情をわかってもらえましたでしょうか。 できることなら、もう原作をいじり回すようなドラマは作らないで頂きたいなぁと思います。 山崎豊子さんが亡くなられた今、どんな風にでも演出がつくれますからね。そうやって、白い巨塔が成長していくとも言えるのかもしれませんが。 30年後にはロボットAIが手術をしていて、このAIが型式:RX-78、コードネーム:ZAIZENとかになったドラマができたりして。連邦の秘密兵器としてね。 PR
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コメント |
最近、田宮財前にはまっており、ネット上を彷徨っていたら辿りつきました。
医療と進歩と原作が釣り合わなくなる・・・言いえて妙ですね。 重ねて、昭和の古臭くバカバカしい権力闘争、田宮財前版の役者の迫力ある演技、これらに引けをとらない再現は難易度が高すぎますね。 ゆえに、昨今の浪速大学付属病院が良くも悪くも現代医療・お台場的ノリになってしまうのはしょうがないことですね。 何よりも、見る側が新しくなってしまうので、ますます本来の昭和財前が伝わりにくくなると言えるでしょう。 それにしても、裁判の緊迫感と闘いのすさまじさは田宮版が圧巻ですね。 終盤のタイムショックとアタックチャンスの戦いは、鳥肌ものですね。 【2021/04/0301:00】||にしにし#2a03ae3830[ 編集する? ]
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コメントありがとうございます。
よく、このような弱小ブログにたどり着きましたね。 歴代の白い巨塔の比較は色々ネットでも論評されていますが、村上弘明版はイレギュラーな放送でかつレンタル、オンデマンドともにないようですので、あまり取りざたされることがありません。 ですが、僕は一番の名作だと思っています。また、視ることができたらと思いますが、、、、テレビ朝日には何とかしてもらいたいところです。 【2021/04/0909:10】||あるじ#7dbb42dcfd[ 編集する? ]
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